更新:2025年10月27日
「NMRパイプテクター」
赤錆を体積1/10の黒錆に還元する装置
「NMRパイプテクター®」(以下パイプテクター)は、水和電子が凝集の内側に存在する大きな水の凝集体を、
水和電子が凝集の外側に位置する小さな水の凝集体へと変換し、
その水が運動することで水和電子が剥離放電する状態を実現します。
さらに、この小さな凝集状態を6時間以上維持できる装置です。
その水和電子を使用した理論や論文などをご紹介します。
従来の水の凝集(以下クラスター)を細分化する技術、たとえば超音波を用いて一時的に水のクラスターを微細化する方法では、短時間で効率的に水のクラスターを細かくし、水蒸気状態にまで変化させることができます。
しかし、その小さなクラスターは装置を通過した直後に再び、水分子内の水素(プラス帯電)と酸素(マイナス帯電)が引き合い、即座に再クラスターして元の大きな状態に戻ってしまいます。
そのため、防錆装置としては使用できません。
これは、水中の還元性を持つ水和電子が、大きな水の凝集体では内部に存在してしまい、水が運動しても剥離放電が起こらないためです。
水和電子が水の運動中に剥離放電を起こすのは、水のクラスターが極めて小さい場合のみであり、そのとき水和電子はクラスターの外側に位置します。
(学術誌『SCIENCE』Vol.307 2005年1月号で論文発表)
この現象は約60年前、アメリカで初めて確認されました。
沸騰水型原子力発電所の冷却管が鉄製であるにもかかわらず、内部腐食が発生していなかったことから、
その原因物質が水中の水和電子であると分光法により特定され、防錆効果が確認されたのです。
【参考文献】出典:J.R.R.Verlet, A.E.Bragg, A.Kammrath,O.Cheshnovsky,D.M.Neumark
「Observation of Large Water-Cluster Anions with SurFace-Bound Excess Electrons.」SCIENCE Vol.307(2005.01.07)
水和電子とNMR共鳴
同様の現象は、水蒸気が流れている配管内部にも見られます。
水蒸気は水のクラスターが最小であり、水和電子が外側に位置するため、水蒸気が運動すると水和電子が放出され、腐食を防止します。
一方で、水蒸気が液体に戻る戻り配管では赤錆が発生することもよく知られています。
また、雷放電も、雲という小さな水のクラスターが運動することで水和電子が放出される現象です。
超音波以外の方法で水のクラスターを小さくする技術としては、水に直接電気を流す「電子場処理」や、永久磁石やコイル式電磁石などを用いて磁界を作り、それを水流で切る事で発生する、弱い誘導電流でクラスターを小さくする「磁気工法」があります。
しかし、これらの方法で一時的に水のクラスターを細かくしても、装置を通過した直後に再び大きなクラスターに戻るため、その後に水和電子の剥離放電は起こらず、防錆効果を発揮することはできません。
唯一、NMR工法のみが、水の水素核に対するNMR共鳴現象及び、ESR共鳴現象で6時間以上小さいクラスターを持続させることができます。
その結果、水和電子がクラスターの外側に位置し続けます。
この状態で、圧送ポンプや高架水槽からの落下エネルギーによって水が運動することで水和電子が放出され、配管内の腐食や劣化を防止します。
さらに、すでに発生している赤錆を体積10分の1の不動態の黒錆へと変化させることで配管を保護し、40年以上の延命を可能にします。
「化学辞典」(1994年10月)